【編集部調査レポート】ペットホテル「24時間体制」表記の実態|1,400施設で49件・運用の3分類

ペットホテルの「24時間対応」「24時間スタッフ常駐」表記の実態を1,400施設のデータから分析。24時間表記は全体の3.5%のみ。「常駐」「別室待機」「LINE受付のみ」の3分類と、夜間運用のコスト構造を業界経験から解説。

【編集部調査レポート】ペットホテル「24時間体制」表記の実態|1,400施設で49件・運用の3分類

このページでわかること

  • 全国1,400施設中、「24時間」表記を持つ施設は49件(3.5%)という実態
  • 「24時間」という言葉の3分類(常駐・待機・LINE受付)と違いの見分け方
  • 夜間スタッフ常駐にかかるコスト構造と「なぜ多くの施設が24時間を名乗れないか」
  • 「24時間」表記施設の実例17件の分類(公開情報から判断)

このページは記事60「ペットホテルの夜間スタッフの実態2026」と連動した編集部一次調査レポートです。記事60が「夜間の実態をどう確認するか」という飼い主向けのガイドであるのに対し、このレポートは「全国データから『24時間』表記を持つ施設を集計・分類した調査記録」です。

集計方法: 各施設の営業時間情報に「24時間」「24h」「00:00〜24:00」を含む施設を抽出。集計期間: 2026年3〜5月。


24時間体制ペットホテルの実態調査ビジュアル

驚きの現実: 「24時間」表記は全体の3.5%

全国1,400施設のうち、24時間表記(何らかの形で「24時間」に言及)を持つ施設は 49件(3.5%) でした。

これは想像より少ない数字ではないでしょうか。「ペットを24時間見てもらえる場所」を前提として施設選びをしている飼い主にとって、約96.5%の施設は夜間の受け入れ・対応を明示していないことになります。

施設の状態 件数 割合
24時間表記あり(何らかの形で言及) 49 3.5%
24時間表記なし 1,351 96.5%
合計 1,400 100%

「24時間表記なし」の施設が夜間に無人というわけではありません。夜間の対応を明示していない、または「スタッフが施設に泊まって対応」を当然のこととして特記していない施設も多くあります。ただし飼い主が「確認できる情報」として見ると、24時間の体制が明示されていない施設の方が圧倒的多数であることは事実です。


「24時間」の中身:3つの分類

49件の「24時間」表記施設を、公開情報から以下の3タイプに分類しました。

タイプA: 人員常駐型

スタッフが施設内に物理的に常駐(宿泊)している、または同一建物内の居住スペースで待機している施設。「24時間スタッフ常駐」「夜間常勤スタッフ対応」「自宅兼店舗のため24時間対応」等の表記が該当します。

該当件数: 推定10〜15件(49件中)

タイプB: 緊急対応型

通常業務は朝〜夕の有人対応ですが、夜間は「緊急時の電話受付」「LINE対応」「カメラ監視システム」での見守りを「24時間」と表現している施設。「24時間緊急応需」「24時間LINE予約受付」「24時間見守りカメラ」等が該当します。

該当件数: 推定25〜30件(49件中)

タイプC: 受け渡し自由型

チェックイン・チェックアウトの時間制限がない(24時間いつでも預け入れ・迎えが可能)という意味で「24時間」を使っている施設。宿泊中の夜間常駐とは別の意味です。「ペットホテル24時間対応(受け渡し)」「24時間セルフチェックイン・チェックアウト可能」等が該当します。

該当件数: 推定5〜10件(49件中)

この分類は公開情報のみに基づく編集部の判断です。実際の夜間運用の詳細は各施設に直接確認してください。


実例17件の分類

当サイト掲載施設の中から、公開情報の記述が明確な事例を抽出して分類しました。

タイプA(常駐)の例

施設名 都道府県 公開情報の記述
わんわん美容室 静岡県 「24時間スタッフ常駐」
Dogshop プロムナード 神奈川県 「24時間スタッフ常駐」
DogSalon colche 石川県 「24時間常勤スタッフ対応」
Dog Hotel Love & Berry 愛知県 「24時間スタッフ常駐(時間外預かり・お迎え550円/時間)」
Dog Training With dog 奈良県 「スタッフ住居と繋がっているため24時間対応可能」
ウェルネスドッグパーク てけてけ 岡山県 「ペットホテルは24時間常駐」

タイプB(緊急対応・監視型)の例

施設名 都道府県 公開情報の記述
あいち犬猫医療センター 愛知県 「年中無休(24時間救急応需)」
こめたろうハウス 東京都 「年中無休。フリースペースで24時間見守り」
ワン・モア 長野県 「自宅での少頭数お預かり。24時間見守り」
ペットラウンジ ルシアン 熊本県 「24時間LINE予約受付」
Grand Ma 熊本県 「24時間営業・完全予約制」

タイプC(受け渡し自由型)の例

施設名 都道府県 公開情報の記述
ゴーイングメリー 北海道 「自宅兼店舗のため24時間受け渡し対応可」
ワンパーク西中洲店 福岡県 「ペットホテル24時間対応・年中無休(美容は10:00〜21:00)」
DOG REST 鹿児島県 「24時間預け入れ・お迎え対応(フリーパック)」
ペットのお宿〜二条城〜 京都府 「24時間365日セルフチェックイン・チェックアウト可能(スタッフ対応は10:00〜18:00)」

判断が難しい例

施設名 都道府県 公開情報の記述 判断
みにまるず 香川県 「通常7:00〜20:00。LINE予約24時間受付」 タイプB(LINE受付のみ)
DOG HOTEL TONAKAI 千葉県 「ホテル24時間制」 受け渡し時間の定義と推測
函館畜犬 北海道 「年中無休。24時間対応(時間外応相談)」 タイプB(相談ベース)

全体の3.5%しかない24時間表記施設の比率

なぜ「24時間常駐」は少ないのか——夜間運用のコスト構造

元ペットショップ勤務の編集長の経験から、夜間スタッフ配置のコスト構造を解説します。

人件費の現実

深夜帯(22時〜翌6時)のスタッフ配置には、労働基準法上の深夜割増賃金(25%増)が発生します。

  • 通常時給1,100円のスタッフ × 8時間 = 8,800円/日
  • 深夜割増(1,375円)× 8時間 = 11,000円/日

1名を夜間に配置するだけで、1泊あたり約11,000円の人件費がかかります。施設の宿泊可能頭数が仮に10頭の場合、「1頭あたり夜間人件費は1,100円」になります。料金3,300円/泊の施設でこれを吸収するのは、かなりの負荷です。

ペットショップ勤務時代にも、夜間のスタッフ配置は「必要最小限にしたい」という経営側の意向を常に感じていました。当時の施設では夜間は1名配置が基本で、緊急時以外は巡回のみでした。

規模の壁

24時間常駐を維持するためには、最低2名の夜間スタッフが必要です(1名が急病の際のバックアップ)。これを週7日維持するには、夜間シフト専任スタッフが実質3〜4名必要になります。

個人経営の小規模施設(定員5〜10頭)では、この固定費を回収できる見通しが立ちにくい。結果として「スタッフ自宅が隣接している」「施設に住み込んでいる」オーナー型施設が現実的な常駐実現手段になっています。

先ほどの分類でタイプAに当たる施設の多くが「自宅兼店舗」「住居と繋がっている」という表記をしているのは、この経済的な理由によります。

「24時間」という言葉の多義性の問題

「24時間対応」という言葉は、業界内では以下の複数の意味で使われています。

  • 「夜間も人が施設内にいる」
  • 「夜間は離れた場所にいるが、緊急の電話には出られる」
  • 「カメラで見守っているので何かあれば気づける」
  • 「24時間いつでも預け入れ・迎えができる」
  • 「LINEで24時間予約を受け付けている」

これらはすべて「24時間対応」と表現しても、法律的・業界規約上の問題はありません。飼い主側が「24時間スタッフが施設にいる」と理解していても、施設側には「24時間LINE受付している」という意味しかない、というすれ違いが起きやすい業界です。


「24時間」を正確に確認するための質問

本記事の前身となる記事60では確認のための電話スクリプトを詳しく紹介していますが、ここでも核心となる質問を再掲します。

夜間の体制を正確に把握するためには、以下を直接施設に確認することが最も確実です。

確認すべき4点:

  1. 「夜間(22時〜翌6時)は、スタッフが施設内にいますか?」
  2. 「スタッフは施設内で寝泊まりしていますか、それとも近くに住んでいますか?」
  3. 「夜間に緊急が起きた場合、何分以内に対応できますか?」
  4. 「夜間の様子を飼い主がカメラで確認できる仕組みはありますか?」

これらの質問に明確に答えられる施設は、夜間体制に自信がある施設です。答えを濁す施設は、夜間の対応が不明確である可能性があります。


まとめ: データが示す3つの事実

  1. 「24時間」表記施設は全体の3.5%(49件)。大多数の施設は夜間対応を明示していない。

  2. 「24時間」という言葉は3種類の異なる意味で使われている。常駐・緊急待機・受け渡し自由の区別なく、同じ言葉が使われている。

  3. 夜間スタッフ常駐の経済的障壁は高い。深夜割増賃金と人員確保コストにより、小規模施設での完全常駐は構造的に難しい。

これを知った上で施設選びをすると、「24時間スタッフ常駐」と明記している施設がどれほど例外的な存在かがわかります。そのような施設は「その分の料金が発生していること」を理解した上で、適切に評価するとよいでしょう。


24時間表記の3分類を示すクリップボード

関連ページ


実例17件の3分類アイコン

Q&A

Q. 「24時間スタッフ常駐」と書いてあれば信頼していいですか?

A. 公式HP・Googleビジネスプロフィールへの記載は施設の公開情報として扱えます。ただし「常駐の実態(同じ建物内か・別棟か・定期巡回の頻度)」まではHPからわからないことが多いです。本当に重要なペット(シニア・持病あり)を預ける場合は、電話で具体的な夜間体制を確認することをおすすめします。

Q. 夜間に無人でもペットに問題はないですか?

A. 健康な若い犬猫であれば、夜間無人(カメラ監視)の施設でも実際に問題が起きることは稀です。しかし「万が一の緊急事態への対応速度」は常駐と無人で大きく異なります。ご自身のペットのリスクレベルに応じて判断してください。

Q. 「自宅兼店舗」の施設は夜間体制として信頼できますか?

A. 施設とオーナーの自宅が一体化している場合、夜間に何かあれば数秒〜数分で対応できます。「建物が分離している施設の夜間常駐」より、実態として安心できる場合もあります。ただし1人オペレーションの場合は深夜に急病が起きた際の対応能力に限界があります。


本レポートは当サイト編集部による独自集計・分類です。施設の夜間運用の詳細は公開情報のみから判断しており、電話取材・訪問取材は行っていません。実際の夜間体制は必ず各施設に直接確認してください。集計日: 2026年5月時点。

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最終更新: 2026年5月12日

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